子宮頸癌ワクチンに懐疑的な立場をとる小生であるが、果たして、どのくらいの確率で重篤な副作用が残存するのであろうか。それに関する記事が見つかったので報告したい。
下記の記事。
子宮頸癌ワクチンに関して前向きな立場をとる先生がお書きになった記事。それによると、重篤な副作用が残る確率は0.007%だという。
重篤な副作用とは何か、というと、小生は、◎死亡、◎寝たきりになる、◎家にしかいられなくなる ◎学校に満足に行けなくなる ところあたりを指すと考えている。
さて、厚労省の資料によると子宮頸がんで女性がなくなる確率は0.06%であるという。
子宮頸がんは、40歳以上が好発年齢である。40-60歳まで主に発症する。
子宮頸がんで亡くなる確率は0.3%。かかる人は1.3%。
それに対してワクチンを打った直後に後遺症で介護が必要になったり、学校に行けなくなったりする確率は0.007%。子宮頸がんで亡くなる確率の約10分の1。
別な資料によると、1900人に一人に重篤な後遺症が残るというデータもある。それは0.05%。
残念ながら子宮頸がんが効いたかどうか、実感した人はまだいない。2010年からワクチン接種が始まったがこの時にワクチンを打った人は今30歳あるいは30歳代前半になったばかり。
好発年齢の40歳にはまだ達していない。
つまり、今、ワクチンを打った直後に重篤な副作用と後遺症に見舞われ生活に支障をきたしている娘さんを見ているわけだ。
しかし、一方で、確かに子宮頸癌にかからなくてよかった、という人をまだ見ていない。子宮頸がんにかからなくても40代、50代なら他の癌にかかることも珍しくない。
重篤な副作用に見舞われる可能性は、子宮頸がんで亡くなる確率の1/10から1/100。
どう考えると良いのかな。皆様ならどう考えますかな。
微小確率の過大評価 HPVワクチンの副反応はなぜ恐い?(平井啓)
2017.11.27
行動経済学×医療
なぜ私たちの意思決定は不合理なのか?
患者の意思決定や行動変容の支援に困難を感じる医療者は少なくない。
本連載では,問題解決のヒントとして,患者の思考の枠組みを行動経済学の視点から紹介する。
[第4回]微小確率の過大評価 HPVワクチンの副反応はなぜ恐い?
平井 啓(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)
「HPVワクチンの副反応が怖い……」
子宮頸がん予防のためのHPVワクチンの接種率は,ワクチン接種に最も望ましい第7学年(中学1年生)において2012年には65.4%でしたが,その後の副反応報道と国の積極的な接種勧奨の一時差し控えを受けて2013年には3.9%になってしまいました1)。
HPVワクチンがどのようにとらえられているかを調べるために,われわれの研究グループでは,接種対象世代(小学校6年生~高校1年生)でHPVワクチン未摂取の娘を持つ母親(n=2060)に対してインターネット調査を行いました2)。現状で接種の意向がある方は12.1%でした。「国による積極的接種勧奨が再開したら」という前提を加えて接種の必要性に関する教育的なメッセージを読んでもらったところ,接種する意向の方は27.3%になりました。この結果から積極的接種勧奨が再開されても70%以上は接種を見送ると考えられます。
理由を探るため,いくつかのメッセージを提示しました。メッセージの1つは,「日本でも,接種を受けた方のうち99.993%の方は,重篤な副反応などなく,健康に暮らしています」でした。メッセージに対する印象をインタビューすると,多くの方が「不安は軽減された」と回答しましたが,「逆に0.007%の人は重篤な副反応が出るのだと不安に感じる」という意見も複数ありました。また,「“ワクチンを受けて将来の心配を減らすこと”よりも,“ワクチンを打つことで何かが生じること”のほうが怖い」「確率は低いと理解したが,以前テレビで見た映像が衝撃的だった」という反応がありました。
起こる確率が低いもののほうが怖い?
この現象は,Kahneman & Tverskyのプロスペクト理論3)に含まれる,「微小確率の過大評価」を使って考えられます。例えば,自動車事故と航空機事故のどちらが怖いか? という質問に対して,多くの人が航空機事故のほうが怖いと答えると思います。しかしデータに基づいて「合理的に」判断すると長距離移動では航空機に乗ったほうが安全であることがわかっています。それでも,普段自動車に乗っているときには,「自分が事故に遭うはずがない」と多くの人が思いますが,航空機に乗っていて大きく揺れた場合には「落ちるんじゃないか!」と不安を感じます(筆者自身も)。このような心理は確率の比較からは説明できません。行動経済学では図のような関数を使ってこの現象を理解します。
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