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LINEやっぱり中国・韓国に個人情報ダダ漏れ 噂が絶えなかった安全性への懸念 リスクに対する行政の「お花畑発想」露呈
2021年3月22日
【有本香の以読制毒】
今週は、日米2プラス2(外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会)の話題で書こうかと思っていた矢先、多くの日本国民にとって身近で重大なニュースが飛び込んできた。無料通信アプリ「LINE(ライン)」の利用者の個人情報が、中国の企業に筒抜けだったという件だ。
正しくは、システムの管理を委託されていた中国の会社の技術者からアクセス可能な状態になっていて、実際に中国の技術者から少なくとも32回、日本のサーバーにアクセスがあったことが確認されているとのことだ。
朝日新聞のスクープだったこの一報には、さらにゆゆしき続報があった。利用者間でメッセージをやりとりするサービス「トーク」に投稿されたすべての画像と動画が、韓国内のサーバーに保管されていることが分かったというのである。
現在、日本国内でのLINEの月間利用者は約8600万人。かくも膨大な日本国民の個人情報が、他国、とりわけ中国、韓国にダダ漏れだったことは、深刻な事態ではある。だが、一報を見た際、筆者に驚きはなかった。むしろ、「やっぱりそうだったのか」というのが正直な感想だ。
かねてから、LINEについては、「韓国や中国のサーバーにデータが送られている」という噂が絶えなかった。個人情報が隣国に盗まれる恐れがあるので、安易に使うべきでない、という話が流布されて久しかったのである。
ところが、世間のお利口さんたちは、この噂を「嫌韓右翼の陰謀論」だと嗤(わら)い、「韓国資本企業への一種のヘイトスピーチだ」と諌(いさ)めてきた。
一時はこうした噂を重く見たのか、国会で「LINEの危険性」が取り沙汰されたこともある。
2019年11月13日、衆院経済産業委員会で、日本維新の会の足立康史衆院議員が、自らも使っているというLINEアプリの安全性について、次のような質問をしている。
「後援会の皆さんや友人から、『国会議員なのにLINEなんか使ったらダメだよ』と言われるんですよ。ダメですか?」
これに対する、平将明経産副大臣(当時)の答弁は次のとおりだ。
「公開情報によれば、LINE社は主要なサーバーは日本国内に置いていて、その管理は日本国内の法令に準拠しているということでありますので、特段問題があるという認識はしておりません」
さらに、足立議員も自ら調べた結果だとして、「日本国内において、日本人と日本人がコミュニケーションしている、われわれが普通に使っている限りにおいては、その処理はすべて日本国内のサーバーでなされている」とも発言している。
なにもここで、足立、平両氏の1年半も前の国会での発言を責めようというのではない。問題は、状況を正しく公開してこなかったLINE社側にある。
しかし、この後の役所の答弁などを聞いていると、この種のリスクに対する日本の行政の意識、感覚は極めて鈍かったと断ぜざるを得ない。例によって、相手の自己申告を信頼する、性善説に立った「お花畑」発想での判断・評価は外国勢には通用しない。
関連して深刻な事態といえば、自治体などがコロナ対策にもLINEを活用し、広く県民に利用を薦めた件などが挙げられる。例えば、神奈川県は今月6日、黒岩祐治知事自ら動画投稿サイト「ユーチューブ」に出演し、「新型コロナウイルスに関する情報提供・サポートをLINEで行います!」と、声高らかに宣伝している。これには早急に手を打つ必要がある。
急場の対応は別にして、本件への抜本的対策は次の2点であろう。
第1は、日本製のメッセージアプリの開発を奨励すること。
第2は、この種のリスクを懸念する言説を、頭から「陰謀論」「嫌韓」と決めつけて封じないことだ。本件然り、外資の土地買収然り。外国勢の謀略力を、日本のモノサシで測り、タカをくくることは金輪際、やめるべきである。
■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。
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