2023年9月19日火曜日

孟子は近年まで実は「禁書」扱いだった

 

ふー
今日、また、老人と海に戻ってきた。
 お前さんが一人でどこで何をしようが知ったこっちゃない、というのが皆様の偽らざるご心境でありましょう。
 私の話を続けます。
 
訳:非常に大きなアオザメで、その体は海で一番速く泳げるようにできていた。しかも、顎を除けば全てが美しい。
 
ちょっと孟子は疲れた。
孟子は革命思想なんですね。
ずっと禁書であったようだ。
 
江戸時代も孟子は表立って教えられてはいなかったようだ。
「アホな天子がいたら、ぶち殺して、取って代わって良い」という
モロに革命思想を述べている。
 それで我が国では警戒されたみたい。
 でももちろん入っては来ていて、読む人は読んでいた。
 
日本史上、表立って教えていたのは、吉田松陰。
長州のお侍にですね。
彼は明治維新の精神的支柱。
その思想が、孟子であったわけです。
我が国にとって、孟子は意外と新しいものなのです。
という講釈でした。
 
一応、孟子の中で、日本国に嫌われた文章を載せておきました。
1章 梁恵王の下 にあります。その八です。
 


 
 
読むとですね、中国史上、稀に見る暴虐な王様がいたのです。
夏の桀王と殷の紂王 ですね。
中国の王朝は、尭から始まり、舜、禹、と続くわけです。
このころを理想の時代、と孔子は言っていました。
それに続くのが夏(か)王朝。
ここまでは伝説の王朝です。
あったのかどうか、解りません。
 
この夏の最後の王様の桀王が暴君だった。
部下に殺されました。誅伐されました。
弑逆(しいぎゃく)されました。
 
そして殷王朝を建てました。
これも伝説だと思っていたら、1900年ころ甲骨文字が大量に出土されました。
これを殷墟(いんきょ)と言います。
初めは、この貴重な文字の刻まれた石を業者が漢方として売っていました。
 いわゆる「竜骨」です。
 これを何とか当時の清王朝が保護しました。
 
 中国ではただの石だろう、飾りだろう、としていたのを
我が国の白川静先生が徹底的に研究して、漢字の成り立ちを一変させました。
 それまでは中国では2000年前の本「説文解字」という本があり、これで漢字の成り立ちを説明していました。
 皆さんもお習いしたでしょう。
 休 人偏に 木 木にもたれて人が休んでいるのだ、と。
 違うんですね。
 白川先生によると、この木は 軍門の 木 なのだ、と。
 そこに手柄を立てた兵士、武将が呼ばれて大いに祝福された、ということなのですね。
 休 には、 休む という意味があるのは皆さんは知っていると思いますが
 「お祝いする」という意味もあるのです。
 白川先生のご業績の最大のものは、「口」を人間の口ではなく
お祈りの祝詞を入れる箱である、それは「サイ」である、と考えたことですね。
 それで漢字の成り立ちは一変しました。
 
 ちなみに、説文解字を書いた人の時代にはまだ甲骨文字は発見されていませんでした。
 甲骨文字から白川先生は漢字の成り立ちに関する新しい学説を打つ建てたわけです。 
 
 閑話休題。
 最近まで殷は伝説の国でしたが、実在の国となりました。
 ここに紂王というのがいて、とんでも8分歩いて10分くらいの暴君でした。
 これを部下が殺して「周王朝」を建てたのです。
 かれは武王と呼ばれました。
 それをついだ息子の文王。
 この時代を孔子は最大限賞賛しています。
 孔子が生きていた時代はこの周の末期です。
 春秋戦国時代です。
 
 彼は国を治めるには、仁である。王の徳である。
 王が徳の風を吹かすと、人民は草のように伏せてそれに従うだろう、
と教えました。
 それをさらに具体化したのが、孔子の死後100年後にこの世に出た孟子でした。
 
 この頃は春秋戦国時代もだいぶ煮詰まっていました。
 孔子のころは小国が多数乱立していたのですが。
孟子の頃は、だいぶ絞られていました。
 戦国七雄の時代です。
 つまりトーナメントも進み、準決勝くらいかな。
 8つならず、7つに絞られた。
 
 孔子のころよりだいぶ煮詰まっていましたから
もっと具体的に世の中のことを語っていた、語る必要があった、のかもしれません。
 それで、写真にある「アホな君主は平民と同じ。もやは王ではない。討ち取って然るべし」と述べたのです。
 これが歴代、本当に聖徳太子以来というか、その前から嫌われちゃったのかな、という話。
 
 奇譚を集めた「雨月物語」には、孟子のことが書かれていて、「不思議なことに孟子の本を載せた船は日本国に着く前にことごとく転覆する」と書かれています。
 孟子 とはそのような書みたいです。
 それを踏まえて読みましょう。
 
 でも、孟子は論語の解説書、とも言われています。
 まず、論語をじっくり読んでみましょう。
論語奮闘記 序 私のブログ
いやあ、これは長文だ
 

 
簡野道明 著  孟子 

 


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