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DNAだのRNAだの言われても、なかなかピンとこないよね、と考えている方もたくさんいらっしゃるだろう。
その人たちのために、簡単な基礎医学の解説をしてみよう。
DNAというのは遺伝子であるが、非常に安定して強固な物質で、DNAの化石も存在している。
映画 ジェラシック・パークでは、恐竜のDNAを採取して恐竜を作ってしまった、というお話。
それに対して、RNAはすごく不安定な物質。
常温では、あっという間に溶けてしまう。
故にRNAを使った実験は、−20度の特別な冷温室でやらないといけない。
ところで世の中にはこのRNAを模した、RNAウイルスというものがある。ノロウイルスとかがそうである。
RNAは不安定なはずであるが、これらのウイルスは、エンベロップ(日本語訳では「封筒」)と呼ばれるもので包まっているので人間の体の中でも安定である。だからウイルスとして存在できるのである。
このエンベロップに似せたものを人工的に作り出せれば、mRNAワクチンも作ることが出来る。
長年の研究を経て、1、5ージ・メチル・シュード・ウリジンやリポナノパーティクルでmRNAを包んで、mRNAワクチンが完成した。
これは体内で安定で、2-6週間くらい体の中に滞在できるそうだ。
最初、mRNAワクチンは、-20度のディープ・フリーザーで飛行機で空輸され、日本国内で、-20度のディープ・フリーザーに移され、各病院に移送される。
各病院でも-20度のディープ・フリーザーが用意されていてその中に収められたものだった。
打つ時はここから出して、溶かして溶けるや否やすぐさま注射する、と言っていた。
私はこれを聞いて、「なるほど。mRNAは不安定だからこのようにしないといけないのだろうな」と思っていた。
ドジな病院があり、いつの間にかディープ・フリーザーの電源が抜けていて、中にあったワクチンが無駄になった、とか言ってニュースになっていた。
そのうちにですよ。こんな-20度で保存しなくても良い、ということになり、使用期限もどんどんいい加減になっていった。
最後は使用期限はなくなった、というか、どんどん改定され、訳が分からなくなった。
体内で2-6週間保つのだから、-20度なんかで保存しなくても良かろう、というわけだ。
このようなカラクリであったのだ。